なぜ働いていると本が読めなくなるのか:三宅 香帆, 瀬戸 歩【20240910配信】
これはPSYCHE Morning Tips 第17回の配信内容のまとめです。
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こんにちは、読者の皆さん。今回は、文芸評論家で作家の三宅香帆氏の著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」から学んだ、仕事と趣味のバランスについてお話しします。
本が読めなくなる理由
まず、よく聞く「時間がないから本が読めない」という理由について、三宅氏は疑問を投げかけています。
実は、時間がないにもかかわらず、スマホゲームやSNS、YouTubeを見る時間はあったりしませんか?
つまり、必ずしも時間がないから本が読めなくなったわけではないのです。では、なぜ本が読めなくなるのでしょうか?三宅氏は3つの理由を挙げています。
- 仕事に全身全霊で取り組むことを美化しすぎている
- 本は長いし、自分が望んでいない情報が入っていることが多い
- 働いてもなかなか生活が楽にならない
仕事優先の文化
サラリーマンが徹夜して資料を仕上げる姿をかっこよく思えたり、全力で仕事をして自己実現をしている人がキラキラして見えたりしませんか?
この「仕事第一」の考え方が、趣味ができないくらい働きすぎてしまう一つの原因なのです。
でも、注意が必要です。最初は誰でも全身全霊で仕事を頑張れるのですが、その状態が長期化すると、燃え尽き症候群やうつ病、適応障害などの病にかかりやすくなります。
現代社会では、なるべく早く実生活や仕事で役に立つ情報を、コスパよく摂取したいと思っています。しかし、本にはそういった「ノイズ」が混ざっていることが多いのです。そのため、本を読むのは非効率だと感じてしまうのです。
社会格差の影響
「働いてもなかなか生活が楽にならない」というのは、現代社会の格差問題とも関連しています。
短い時間でたくさんのお金を稼げる人と、働けど働けどなかなか暮らしが楽にならない人の二極化が進んでいます。さらには、親の経済状況によっても、余裕がある暮らしができるかどうかが決まってきます。
働いてもなかなか生活が楽にならない人たちは、当然時間もなくなるし、本や趣味をやる余裕さえなくなってしまうのです。結果的に「仕事するために生きている」みたいな、仕事が全ての生き方になってしまいがちなのです。
対策
では、どうすれば働きながら本などの文化的な活動を続けることができるのでしょうか?三宅氏は3つの方法を提案しています。
- 全身で働かずに、半身で仕事や趣味にコミットする
- 頑張りすぎるのを賞賛する文化をやめる
- 仕事以外のことにコミットできていない状況に疑問を持ち、バランスを意識する
「半身で仕事や趣味にコミットする」というのは、全力で仕事をするのではなく、その半分くらいで仕事に取り組むということです。具体的には、週3日勤務で社員になれるくらいがベストだと三宅氏は指摘しています。
「頑張りすぎるのを賞賛する文化をやめる」というのは、社会全体の意識改革が必要です。サラリーマンが徹夜して無理をして資料を仕上げたことを褒めることをやめる、アイドルが恋人も作らず常にファンのことだけを考えて仕事をするのを褒めることをやめる...そういった「全身全霊」「頑張りすぎ」「身を粉にして」やることを褒める文化を、もういい加減にみんなでやめませんか?と三宅氏は提案しています。
「バランスを意識する」というのは、仕事以外のことにコミットできていない状況に疑問を持つことから始まります。学生の頃は趣味を楽しめていたのに、社会人になった途端に仕事以外のことができなくなるのって、どう考えてもおかしいですよね。
まとめ
今回のポイントをまとめると以下のようになります:
- 本が読めなくなる理由:仕事優先の文化、情報の非効率性、社会格差
- 対策:半身で働く、頑張りすぎを賞賛しない、バランスを意識する
三宅氏は、気分よく仕事をしながら、それ以外の時間も楽しく過ごすという生き方が今後のスタンダードになるべきだと指摘しています。
もちろん、これらを実現するのは簡単ではありません。でも、少しずつでも自分の生活を見直し、本を読む時間や趣味の時間を作っていくことは可能かもしれません。今日から、自分の生活を少し振り返ってみてはいかがでしょうか?
それでは、今日も充実した一日を過ごしましょう。