なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか:ジョナサン・マレシック著【20240820配信】
これはPSYCHE Morning Tips 第2回の配信内容のまとめです。
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こんにちは、読者の皆さん。今回は、元大学教授で現在はエッセイスト、ジャーナリストとして活躍するジョナサン・マレシック氏の著書「なぜ私たちは燃えつきてしまうのか」から学んだ、仕事における燃え尽き症候群の原因と対策についてお話しします。
燃え尽き症候群とは
まず、燃え尽き症候群について簡単に説明しましょう。これは、それまでやる気満々で熱心に仕事をしていた人が、突然抜け殻のようになり、常に疲れ切っていたり、気分が悪くなったり、興味や関心を失ってしmう状態を指します。うつ病と似たような症状が現れることもあります。
驚くべきことに、この燃え尽き症候群は非常に一般的な問題です。調査会社フューチャー・フォーラムが世界で1万人以上の労働者を対象に行った調査では、42%の人が燃え尽き症候群を経験したと回答しています。
ここで重要なのは、燃え尽き症候群は単に休養を取るだけでは解決しないということです。マレシック氏自身、長期休暇を2回取得しても、仕事に復帰すると数週間で同じように疲労感や怒りがぶり返してしまったそうです。
燃え尽き症候群の原因
では、なぜ私たちは燃え尽きてしまうのでしょうか?マレシック氏は、燃え尽き症候群の原因を「仕事に対する期待と現実のギャップ」に見出しています。
例えば、マレシック氏自身は、学生との対話を通じて面白い講義をするために大学教授になりました。しかし現実では、講義内容に全く関心を示さない眠そうな顔をした学生たちの前で、誰も望んでいないような講義を続ける日々を送ることになってしまったそうです。
この「期待と現実のギャップ」を、マレシック氏は竹馬に例えています。竹馬の2本の棒の一方が「期待」、もう一方が「現実」だとすると、この2つがそれほど大きく離れていなければうまく前に進めますが、大きく離れていると立ち尽くすことになり、いつか転落してしまうというわけです。
現代社会と燃え尽き症候群
現代社会では特に燃え尽き症候群が問題になっています。マレシック氏は、現代の私たちが仕事に対してお金だけでなく、アイデンティティややりがい、人との交流、地位、承認欲求、意味のある仕事をしたいという気持ちなど、多くのことを求めすぎていると指摘しています。
実は、この「仕事イコール人生」という考え方が広まったのは比較的最近のことです。1960年代後半から70年代にかけて、経営者や資本家が「働けば必ず幸せになれる」「いい仕事をすることがすなわちいい人生である」という考えをすり込んでいったそうです。
一方で、現実の仕事は「ブルシット・ジョブ」と呼ばれる、社会に何の影響ももたらさず、働く当人も意味がないと感じている仕事が増えてきています。
この「高すぎる期待」と「意味のない現実」のギャップが、私たちを燃え尽きさせているのです。
燃え尽き症候群への対策
では、どうすれば燃え尽き症候群を避けられるのでしょうか?マレシック氏は2つの方法を提案しています:
- 仕事に期待しすぎないこと:仕事はお金を稼ぐための手段だ、くらいの感覚で淡々と働くことが必要だと言っています。
- 仕事以外の時間を充実させること:仕事を生きがいにするのではなく、趣味を生きがいにしたり、承認欲求を筋トレに見出したり、社会の役に立ちたい気持ちを休日のボランティアやイベント開催などに見出すイメージです。
つまり、1つの仕事だけに全ての欲を求めるのではなく、仕事以外のことに自分の欲求を向けるということです。
まとめ
今回のポイントをまとめると以下のようになります:
- 燃え尽き症候群は休むだけでは解決しない
- 燃え尽き症候群は仕事への期待と現実のギャップから生まれる
- 現代社会では仕事に多くを求めすぎている
- 対策として、仕事に期待しすぎないこと、仕事以外の時間を充実させることが大切
確かに、仕事は誰かのやりたくないことだったり、面倒くさいことを代わりにやってあげるからこそお金をもらえるわけです。だからこそ、仕事に過剰な期待をしすぎるのは良くないのかもしれません。
皆さんも、今日から少し仕事への向き合い方を見直してみませんか?仕事は人生の一部分であって、全てではありません。そう考えることで、もしかしたら今よりもっと充実した人生を送れるかもしれません。
それでは、燃え尽きない程度に頑張りましょう!