奴隷の哲学者エピクテトス人生の授業――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために:荻野 弘之, かおり&ゆかり【20240909配信】
これはPSYCHE Morning Tips 第16回の配信内容のまとめです。
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こんにちは、読者の皆さん。今回は、常智大学の教授で哲学研究者である荻野博之氏の著書「奴隷の哲学者エピクテトス人生の授業」から学んだ、辛い状況でも楽しく生きる方法についてお話しします。
エピクテトスとは誰か
まず、エピクテトスという人物について少しお話ししましょう。
エピクテトスは西暦50年頃に生まれた古代ローマの哲学者です。当時のローマには身分制度があり、彼は最下層の奴隷として生まれました。おまけに、彼は片足が不自由だったとも言われています。
皆さん、想像してみてください。奴隷として生まれ、身体的にも不自由があるという、最悪とも言える環境です。しかし、エピクテトスはこの状況を乗り越え、後に偉大な哲学者となりました。
彼の教えは、まさに「辛い状況でも楽しく生きる方法」そのものだったのです。
エピクテトスの核心的な教え
エピクテトスの教えの核心は、「自分でコントロールできることと、できないことを区別する」ということです。
彼は、私たちの人生に起こることを大きく2つに分けました:
- 自分でコントロールできること
- 自分でコントロールできないこと
自分でコントロールできることの例としては、自分の行動、考え方、努力などがあります。
一方、コントロールできないことの例としては、生まれた国、親、顔立ち、才能、他人の行動、過去、未来などがあります。
エピクテトスは、幸せになりたければ、自分でコントロールできないことは「軽く見る」べきだと教えています。そして、自分でコントロールできることに全力を注ぐべきだと言うのです。
エピクテトスの具体的な教え
では、エピクテトスの具体的な教えをいくつか見ていきましょう。
- 避けられない恐怖を軽く見る: 病気や事故、突然の死など、避けられないものに対する恐怖は軽く見るべきです。それらは自分でコントロールできないからです。
- 他人の行動や評価を軽く見る: 他人の行動や評価は自分でコントロールできません。だから、それらに一喜一憂するのではなく、自分の行動や評価に集中すべきです。
- 過去と未来を軽く見て、現在に集中する: 過去や未来は変えられません。だからこそ、今この瞬間を精一杯生きることが大切です。
- 与えられた役割を精一杯演じる: 自分に与えられた能力や環境は変えられません。しかし、その中で精一杯努力することはできます。
- 快楽を遠ざける: 一時的な快楽よりも、長期的な達成感を大切にすべきだとエピクテトスは教えています。
エピクテトスの教えを日常生活に活かす
エピクテトスの教えは、2000年も前のものですが、現代の私たちの生活にも十分に活かせるものです。
例えば、仕事でミスをしたとき。ミスをしたこと自体は既に変えられません。しかし、そこから何を学び、どう対処するかは自分次第です。
また、人間関係で悩んだとき。相手の言動は変えられませんが、自分の対応は変えられます。
さらに、将来への不安に襲われたとき。未来は誰にもわかりません。でも、今できる準備はあるはずです。
このように、日常のあらゆる場面で、「自分でコントロールできること」に焦点を当てることで、より前向きに、そして楽しく生きることができるのです。
まとめ
今回のポイントをまとめると以下のようになります:
- 自分でコントロールできることとできないことを区別する
- コントロールできないことは軽く見る
- コントロールできることに全力を注ぐ
- 現在この瞬間を大切に生きる
- 与えられた役割を精一杯演じる
エピクテトスは奴隷という最悪の環境から、世界的に尊敬される哲学者になりました。彼の教えは、まさに実践の中から生まれたものなのです。
皆さんも、今日からエピクテトスの教えを少しずつ実践してみてはいかがでしょうか?きっと、人生がより楽しくなるはずです。
それでは、今日も素晴らしい一日を。